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CONCEPT

REVIVAL

~A Speech of the People, by the People, for the People~

 

  東大杯において第1回­大会––当時は安田講堂杯と呼ばれていました­––から通底する理念は、「広く開かれたパブリックスピーキングの場を提供する」ことです。そのために東大杯は、年齢・国籍などによる制限を一切設けず、高等学校・社会人団体への広報を行い、またネット配信などによって一人でも多くの人に大会を届けようと努力してまいりました。

 

  ですが、私たちは第10回という記念大会を迎えるにあたり改めて問い直しました:東大杯は、なぜ「広く開かれる」必要があるのか?そして実際、その答えは、日々テレビで、新聞で、インターネットで私たちが目にするものの中にあったのです。私たちが触発されたのは、例えば、昨年12月の国際連合におけるマララ・ユスフザイさんの演説でした。彼女の幼い声は、まさに世界中の人々の心を掴み、いま歴史を変えようとしています。

 

  確かに私たちは歴史の教科書の中で、リンカーン大統領やキング牧師がスピーチによって世界を変えてきたことを知っています。ですが、同じダイナミクスが今日も動き続け、歴史という物語を大きく変えてきたことに、どれほどの人が気づいているのでしょうか。世界を変えるその力は、現代ですら、いや現代だからこそ力強く生きているのです。

 

  上の問いに対する答えは次のように言うことができます。スピーチという形で自らの意見を人々に伝える、それも英語という世界共通語で表明するという能力は、グローバル化の進む世界で、すべての人に必要とされる力なのではないか。だから、スピーチが一人でも多くの人に伝わり、スピーチの力を一人でも多くの人に知ってもらえるよう、個人がめいめいの価値観を発露し、人類が少しでも賢明な方向に歩みを向けられるよう、大会をできる限り広く、大きく開かれるべきである。この考えを、私たちは10年の中で忘れていたように思えるのです。

 

  ですから、「広く開かれたパブリックスピーキングの場を提供する」、この理念は今や、私たちが「引き継いだ」理念ではなく、私たちがこの大会を作り上げる際に私たちが「掲げる」理念と言えます。

 

  東大杯は、第1回も、第10回も、スピーチの力をより多くの人々に伝え、スピーチをすべての人々のものとするためにあります。この意味で、A Speech of the People, by the People, for the Peopleという今回のコンセプトは、第一回から引き継ぐ理念を私たちの手で改めて「復活」させたものなのです。そう、奇しくも大会が創始された時その名を大会名に冠した、安田大講堂の復活とともに。

 

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